*** エメラルド
その日の夕方。
「ありがとう、クリスタルさん」
「いいのよ、お礼なんて。良かったら食べてね。」
その日、エメラルドはクリスにチョコをもらっていた。
憧れのクリスにもらえたことが本当に嬉しいらしい。
エメラルドはそのプレゼントをギュっとその手に抱いていた。
「それじゃ、私は用事あるから帰るわね。」
「うん。ありがとう。」
エメラルドは夕暮れに染まる空を見ながら、オダマキ研究所に向かった。
サファイアが彼女の父であるオダマキ博士が自分を呼んでいるから、
と言っていたからだ。
いったい、何の用事だろう。
自分が呼びつけられた理由を考えている内にいつの間にか
研究所の前についてしまった。
「オダマキ博士〜、?・・いないのか?」
扉を開けた中は暗く静まり返っている。
人を呼びつけておいて留守?
・・・帰っていいのかな、これ。
そして扉に向かい直った、その時だった。
急に明かりがついた。
「「「ハッピーバレンタイン、エメラルド!!」」」
「な・・なんだ・・・・・?」
驚いて振り返ると見慣れた顔が揃っている。
先輩たちに、いつのもうるさい二人。
そしてその中には先ほど会ったクリスの顔もあった。
冬だというのに少し汗をかいている。
もしかしてあの後走ってここに来たのか・・・。
「驚かしてごめんね、エメラルドくん。」
息をきらしながらクリスが答えた。
そして息を整えてからまた話し始めた。
「今日、バレンタインでしょ?ブルーさんとね、エメラルドくんのこと話してたら、
じゃぁ、みんなやろうよってことになったの。」
「どうせなら『ドッキリ』がおもしろいでしょ。」
クリスの説明の後にブルーが楽しそうに笑って付け加えた。
「良かったなーエメラルド!モテモテじゃん!」
「あんたは黙ってなさい!」
クリスがゴールドに制裁を入れる。
「いってええええ・・・」
「どうぞ、これ僕からです。」
「はい、エメラルド!」
「これは私からの分ね。」
イエロー、サファイア、ブルーがそれぞれ手渡した。
そして
「これは僕たちから。」
とルビーがひとつ、小さな箱を渡した。
「え?」
「男組からってことだよ、あ、変なこと考えんなよ。そういう意味のもんじゃねーからな。」
「作ったのはだいたいルビーだけどな。」
ゴールドに続いて申し訳なさそうに笑ってレッドが言った。
後ろにはグリーンとシルバーがそっぽを向いて立っている。
たかがバレンタインデー。
・・・それなのにこんな・・・オレのために・・・
「・・・ありがとう、みんな。」
言葉にするのがもったいないとでもいうような、搾り出すような声だった。
エメラルドはただ嬉しさでいっぱいだった。
「・・・オレ、誰かにこんな風にされたことなかった。
こんな祝い事なんてオレには縁のない行事だったし・・・、
だから、なんていうか・・・、上手く言葉にできないんだけど・・・」
「すごく嬉しい・・・本当に、・・・本当にありがとう。」
そう言いきったエメラルドの顔には穏やかな笑みが広がっていた。
「いーってことよ!!」
「そうったい、そぎゃん言ってもらえたら、こっちが嬉しかよ。」
「さーて!今日はパーティよ!!お祭りよー!」
「お祭りはないだろ。」
「うるさいわね、グリーン。」
「うるさいのはお前だ。」
「よっしゃ、飲むぞー、シルバー!!」
「冷蔵庫はどこだ。」
「ちょっと、ゴールド、未成年でしょ!」
「ああん?冗談だよ、つーか飲むの、ジュースだよ!」
「あ、シルバーそれ、酒・・・!」
「・・・。」
「「シルバーー!?」」
「なーんだ、今日はふたりっきりかと思ってたのに。」
「ちょ、ちょっと、ルビー!!なんば言いよっと!」
「こんなうるさくして良いんでしょうか?」
「はは・・・本当にうるさいな。・・でもまぁ、楽しんでるみたいだし、いいんじゃない?」
そう言ってレッドはエメラルドを見た。
そこにはみんなに囲まれて笑っているエメラルドがいた。
・・・騒がしくてお節介だけど・・・、それでもみんな、オレの大切な家族だ。
本当にありがとう・・・みんな―――。
*** おまけ。
「今日は・・・、ズバリ!バレンタイン!!
・・・ってことではい、チョコ。おいしい?」
ナタネさん、絶対草ポケたちにチョコやってると思う。
***
一日送れたけど愛を込めて。
エメラルド。
最後ドタバタですみません;
きっとエメラルドはみんなの弟のように可愛がられているよ。
エメを書くとゴールドもなんか書きたくなる。
29巻ではいい兄ちゃんだったよな、ゴールド。
やっぱ、今まで一人だった分すごく嬉しいと思う。
所有者はエメにとって大切な家族だと思う。
なんだかんだ言ってルビーとサファイアのことも大切に思ってるよ、きっと。
てか出番少ない人多くてごめんなさい。
研究所に冷蔵庫があるのかという突っ込みはNGです。
(酒があるのもおかしい。)
シルバーって酒に弱いと思う。
おまけ。
絶対、やってるよ、この人なら。(笑
ナタネさん好きなんです。
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