*** シルバー
「シルバー!!」
「ブルー姉さん。」
「はい、ハッピーバレンタイン。」
ブルーは丁寧に包装されている箱をシルバーに渡した。
「これ・・・俺に?」
「当たり前でしょ!ふふ」
「・・・ありがとう。」
シルバーは素直に嬉しかった。
「あ、それとね、クリスからも預かってるのよ。
本当は直接渡したかったみたいだけど、オーキド博士から仕事頼まれてしまったんですって。」
「クリス?」
かわいくラッピングされた箱をブルーが取り出した。
それには「To Silver」とかかれたカードがそえられている。
二つ折りにしてあるカードを開くとそこには丁寧な文字と、
無造作に書かれた文字がつづられていた。
≪シルバー、いつもありがとう。本当は会って渡したかったけど用事ができちゃって。
ごめんね。良かったら食べて。≫
≪オッス、クリスのチョコ食べるなんて本当なら許さねーが、
クリスのお人好しに免じてくれてやるぜ。≫
「まったく・・・。」
本当にお人好しな奴ら―――――。
シルバーは頭にいつもの2人を思い浮かべ、ふっと微笑んだ。
そんな弟をブルーは暖かく見守っていた。
*** パール:ダイヤモンド:お嬢様
その日、2人は驚いていた。
「こ、これは・・・」
「・・・お嬢様がつくったの?」
パールは雷にでも打たれたかのような衝撃を受けている。
一方ダイヤはもちろん驚いてはいるのだが、それよりも『チョコ』がただ単純に嬉しいようだ。
「ええ。」
あの、世間知らずのお嬢さんが・・・!
「バレンタイン知ってたんだね〜。」
パールの考えに続くようにダイヤが言った。
「いつか本で読んだことがあります。それに以前言っていたでしょう。」
お嬢様はそう言ってダイヤを見た。
あーそういえば・・・。
***
―――1ヶ月ほど前
『そっかーもうすぐバレンタインデーか〜。』
ダイヤが月刊『ポケキャン』を読みながら呟いた。
その言葉をお嬢様は横で聞いていた。
『バレンタイン・・・というと、女性が男性にチョコをあげる風習のことですか?』
『うん、好きな人にチョコをあげるんだよ。でもチョコはやっぱり手作りが嬉しいよね。』
***
――そんな話をしてたっけ。すっかり忘れていた。
「それにしても、お嬢さん、よく覚えてたな。」
ダイヤと同じく、パールが感心して言った。
「ええ、でも作り方は良くわからなかったので、ホテルのシェフの方に教えていただきました。」
これだから箱入り娘のお嬢さんは、
とパールは改めてお嬢様のすごさを実感した。
「でも・・・やはり料理は慣れないもので、うまくできたかどうか・・・。」
そう言ってお嬢様はすこし不安な顔を見せた。
「これ、食べてもいいの?」
ダイヤが言った。
「はい、良かったら・・・どうぞ。」
「パールも食べようよ、せっかくお嬢様が作ってくれたんだし。」
「し、仕方ねーな。食べてやるよ!」
パールは目をそらしながら、ぶっきらぼうに言った。
心なしか顔が赤い。
ダイヤは箱からチョコをとりだした。
お世辞にもきれいな出来ばえ・・・とは言えない。
けれどもダイヤは気にせず口に入れた。
同時にパールも食べてみる。
高級な材料が使われているのだろう、程よい甘さが口の中にふわっと広がる。
「「おいしい。」」
「お嬢さん、なかなかやるじゃん!」
「すごくおいしいよ!」
ふたりとも素直に喜んでくれているようだ。
「本当ですか?!よかった・・・。」
すると、ふと思いついたようにパクパク口にチョコを
放り込んでいたダイヤが「でもさ、」と言った。
「どうしてお嬢様は僕らにチョコくれたの?」
そう、バレンタインとは『好きな人にチョコをあげる』日なのだ。
「なぜって・・・」
お嬢様は頬を染めながらぽつりとつぶやく。
「なぜって・・・お2人にはいつもお世話になっていますので。」
「「え?」」
「私にいつもバトルなど教えてくださったりして疲れていると思ったのです。
疲れた時は甘いものが良いですから。」
・・・
なーんだ、そういうことかと2人は思ったが、いつも気高いお嬢様が
ふつうの女の子のように自分たちのためにチョコを一生懸命作ってくれたんだ。
今はお嬢様のその気遣いだけで十分満足だった。
***
シルバー編。
シルバー短くなったけど愛はあるんだ!!
シルバーは姉さんにもらえただけでも嬉しいのに
いつもの2人からも素敵なプレゼントをもらって
本当はすげー喜んでるよ。きっと。
シルバーにはなんだか笑ってほしいです。
それにしても愛されてますな、あなた。
シンオウ組。
シンオウ組はほのぼの仲良くやってると良い。
かわいくて仕方ない。
お嬢様はきっとふたりを振り回してる、無意識に。
なんだかんだいってパールはお嬢様のこと気にしてると思うよ、うん。
パールはそういう感情にけっこう素直そう。でも決して自分から押しはしないだろな。
お嬢様の名前はあえて伏せておいた。
BACK